コラム

住宅内でのコロナ対策

  最近では、コロナ感染が家庭内でも広がりを見せています。子から親へ、孫から祖父母への感染が住宅内部で起きています。症状がなくとも、外から知らずうちに住宅内にウイルスを持ち込んでしまうのです。外では必ずマスクを着用し、帰宅したら、石鹸による手洗いとうがいを徹底することが第一条件です。
 住宅内でやれることは、まず換気です。冷房を使用していないときは、できる限り窓を開けます。部屋に窓が2方向にあるときは、両方の窓を開けると風が通ります。窓が一つしかない場合は、入り口のドアを開けっ放しにし、廊下の窓や玄関のドアを開け放しにすることが大切です。玄関ドアに網戸が設置されていないと虫が侵入しますから、ぜひ網戸を設置しましょう。また、扇風機を上手に使うと、部屋の隅々まで換気ができます。冷房使用時は窓を閉めますが、部屋の換気扇は回しましょう。換気扇が設置されていない部屋は、給気口があれば全開にします。そして、浴室、トイレの換気扇を回しっ放しにしましょう。夏は特に、風を通すことで、部屋の湿気を下げ、結露を防ぐことができます。カビやハウスダストの減少につながります。冷房を付けていても、朝起きたら、一度は必ず窓を全開し、新鮮な空気と入れ替えましょう。冬の暖房は輻射熱を利用した暖房であれば、窓を一時的に開けて換気をしてもあまり寒くありません。
 トイレの水を流す際はふたを閉めてから流しましょう。寝る前に一度、アルコールでドアの取手、トイレの床、洗浄ボタン、照明スイッチなどを拭いておけば完璧です。万一、家族が発熱や風邪の症状が出たら、換気扇のある部屋で静養し、できればトイレ、タオルは別にしましょう。

すまいの耐震性能について

① 昭和56年に耐震基準が強化されました。新築年が昭和56年(1981年)以前の住宅は、現在の耐震基準を満たしておりません。震度6強、震度7での建物の倒壊の可能性が高く、耐震補強工事をお勧めします。補強工事の費用の一部を市から助成を受けられます。

② 平成12年には、耐震基準に細かい基準が追加されました。新築年が昭和56年(1981年)以降でも、平成12年(2000年)以前の住宅は、適切な柱の引き抜き防止金物がないものや、耐力壁の配置バランスの悪い可能性も高いのです。倒壊しないまでも、家は傾き、住み続けられなくなる可能性があります。精密耐震診断を行い、必要となれば、耐震補強工事を行うことをお勧めします。

すまいのバリヤフリーについて

 高齢者のお住まいは、バリヤフリーがとても大事です。ちょっとした段差で転倒し、骨折すると寝たきりになってしまうこともあります。廊下と和室の段差、扉の沓摺、お風呂場の段差、玄関の上がり框などです。可能なところは段差をなくす工事を考えましょう。階段やトイレ、ふろ場、玄関では適切な位置に手すりを設置して転倒を防ぎましょう。
 開き扉を引き戸に替えたり、和風便器を洋風便器に取り換えることもバリヤフリーになります。これらの工事は介護保険から一定の工事費の助成を受けられます。また、バリヤフリーは小さなお子様にも安全であることは言うまでもありません。

自然素材の効用

 現代住宅の内装仕上げは貼り物の合板床、壁天井はビニールクロスが一般的です。これらの内装材を可能な限り自然材料を取り入れたいです。特にお勧めするのは、杉の床材です。節さえ気にならなければ、冬は暖かく、夏はさらっと気持ちいいです。やわらかいので、肌触りバツグンです。無節の桧と違い、高価なものではありません。壁仕上げも、和紙や漆喰、珪藻土を部分的でもいいので使いたいです。無垢板と同じように調湿作用が良いので、カビの繁殖を抑えることができます。室内干しにも効果を発揮します。構造材の柱や梁も輸入材の集成材ではなく、国産材の無垢材(できれば神奈川県産材)を使うことが好ましいです。地産地消を心がけることで、森林を守り、地球環境を守ることに繋がります。節のある杉材であれば、高価なものではありません。できれば柱梁も隠さずに表しにしたいものです。自然材料は生産から廃棄処分までのCO2削減に寄与します。

すまいの温熱環境について

 夏涼しくて、冬は暖かい住宅がいいに決まっています。そのためには、どのような住宅にすればよいのか、日本の気候ならではの原則があります。夏の日射を遮るために、南の庇を深くし、東西の窓はよしずで日射を遮ること。夜は風を通し、熱気を外に逃がす。冬は大きな南の窓から日射を取り込むと同時に、夕方早めに雨戸を閉めることで部屋の熱を逃がさない等々です。これらの原理原則を活かしたうえで、断熱性能を上げることも重要です。お風呂場と脱衣室が冷たいために、熱い湯につかることで心筋梗塞や脳血管障害が発生するヒートショックで沢山の高齢者が亡くなっています。ヒートショックを防ぐためにも、お風呂、脱衣室の断熱は特に重要です。季節に応じた、窓の開け閉めや、こまめに電灯のスイッチを入り切りするなど省エネな暮らし方も大切です。長く大切に住み続けられるような住まい・暮らしは何か、一緒に考えましょう。